移民制度(早期移民への道)
2003年に専門技術者(スキルドワーカー)の移民合格ポイントが75点から67点に引き下げられたことにともない、移民申請者が急増し、現在、審査作業に延滞を来しています。そのような中で、できるだけ早期に移民を実現する方法をまとめてみました。

以前は、カナダ移民に際し、ほとんどの方が、カナダ政府による専門技術者移民プログラム (Federal Skilled Worker Program) を利用していました。このプログラムでは、申請者は次の6つの項目についてポイントを評価されます?教育、就労経験、雇用先、年齢、語学力、適応力。 合格最低ポイントは現在100ポイント中67ポイントとなっています。ところが、このプログラムは大変人気があるため、現在の平均審査期間は、海外から申請した場合、55ヶ月 (4年7ヶ月) かかります。未処理分の申請は50万とも言われています。ただし、このプログラムでも、Human Resources Social Development Canada (HRSDC) からArranged Employment Opinion (AEO) を取得すれば、審査期間は大幅に短縮されます。そのためには、カナダ国内の雇用主からJob Offerをもらい、これをHRSDCに確認してもらう必要があります。

上記のプログラムに頼らず、カナダに早く移民するためには次のいくつかの方法が考えられます。

1 投資家移民の資格を取得する

 投資家移民の資格を得るためには、ビジネスの経験、80万ドルの総資本、そして連邦政府への40万ドルの投資が必要です。投資した40万ドルは約5年2ヶ月後に無利子で返済されます。移民審査に要する期間は、北アメリカ以外に住んで
いれば、約24ヶ月から48ヶ月です。もし、カナダかアメリカに住んでいて、就労許可証 (Work Permit) 又は就学許可証(Student Permit) を持っていれば、アメリカで申請することができるので、審査期間は12ヶ月から18ヶ月となります。

2 Provincial Nominee Program (PNP)を利用する

 PNPは州による移民プログラムで、それぞれの州における労働力の需要を埋める目的があります。PNPの利点は2つあり、第一に、連邦政府の移民プログラムでは合格しない人でも合格の可能性が出てくるということと、第二に、申請の審査が早いという点です。PNPはほとんどの州で設けられています。現在PNPはますます重要性を増していますので、これについては後で詳述します。

3 就労許可証 (Work Permit) を取得した後に移民申請する

就労許可証 (Work Permit) を取得している人は、アメリカのBuffaloにFederal Skilled Workerの申請をすることができます。その場合の審査期間は12ヶ月から24ヶ月です。Work Permitを申請するためには、カナダの雇用主からのJob OfferとそのJob Offerに対するLabour Market Opinion (LMO) が必要です。LMOとは、その仕事ができるカナダ人を雇用しようとしたがそれができなかったことを確認するもので、雇用主がHRSDCに申請します。LMOを必要とせずWork Permitを得る有効な方法として
は、親会社がカナダに100%出資する子会社を設立するか、あるいは親会社が主要株主となる子会社を設立する方法があります。この場合、親会社はLMOを申請する必要はなく、カナダの子会社に、管理職となるマネージャーを転勤させることができます。このようにしてInter-Corporate Work Permitを取得した管理職の人も、カナダ国内から、Federal Skilled WorkerとしてアメリカのBuffaloに移民申請を行なうことができます。

4 配偶者等にスポンサーになってもらう

配偶者や判例法上の配偶者 (Common-Law Partner)、あるいは、婚約者や近親者にスポンサーになってもらうのも一つの方法です。
配偶者やCommon-Law Partnerにスポンサーになってもらう場合は、最低所得額による足切り (LICO)は適応されません。しかし、婚約者や身近な親戚の方にスポンサーになってもらう場合はLICO額が適応されます。配偶者スポンサーシップの申請は、カナダ国内からであれば6ヶ月から12ヶ月、カナダ国外からであれば2ヶ月から12ヶ月かかります。また、両親をスポンサーシップで呼び寄せる場合は2年から5年かかります。

Provincial Nominee Program (PNP) による移民

移民の管轄は連邦政府にありますが、各州によって経済情勢が異なり、必要とする人材もそれぞれ異なります。そこで、各州がそれぞれのニーズにあった人材を選べるように設けられたのがこの制度で、州政府がまず選考し、選考に合格した人を連邦政府に推薦する仕組みになっています。この制度には2つの大きな利点があります。第一に、連邦政府のプログラムでは合格しない人にも合格の可能性があるということ。第二に、申請に要する期間が連邦政府のプログラムに比べて非常に短いということです。
 プログラムの内容としては、専門技術者移民(スキルドワーカーPNP)とビジネス移民(ビジネスPNP)があります。

スキルドワーカーPNP (Skilled Worker PNP)

このプログラムは、各州のニーズにあった職業、または、ビジネスセクター分野に関して、州内の会社からジョブオファーを得ているスキルドワーカーを対象にしたプログラムで、たいへん迅速な手続を期待することができます。

ビジネスPNP(Business Immigration PNP)

新規ビジネスの設立や投資、あるいは州の既存のビジネスと合弁事業を行なうための要件を満たすことができれば、これもまた迅速な手続が期待することができます。

上記のプログラムを実施している州は以下の通りです。

スキルドワーカーPNP
ブリティッシュコロンビア州
アルバータ州
サスカチュワン州
マニトバ州
ノバスコシア州
ニューブランズウィック州
ニューファンドランド&ラブラドール州
プリンスエドワードアイランド州
オンタリオ州(試験的に実施中)

ビジネスPNP
ブリティッシュコロンビア州
サスカチュワン州
マニトバ州
ノバスコシア州
ニューブランズウィック州
ニューファンドランド&ラブラドール州
プリンスエドワードアイランド州
ユーコン準州

※ケベック州にはこれらと異なる独自 のプログラムがあります。

スキルドワーカーPNPの特徴は、雇用主に主導権があること、州で必要とされている分野の職種に関して、雇用主がカナダ人以外の人を雇用することができる点です。PNPの申請は雇用主が州に対して行います。その申請を州に承認してもら必要があるわけですが、それにかかる期間は、州により異なりますが、早ければ数週間、長くても9ヶ月です。BC州の場合は数週間で処理されます。そしてPNPの承認後は、各個人が、連邦政府に移民手続きをするわけですが、すでに州政府から「推薦」を受けているので、連邦政府のすることは、基本的に、健康、セキュリティ等のチェックだけになります。これに要する時間は、管轄の移民局 (CIC) によっても異なりますが、一般的に約6ヶ月から8ヶ月です。またPNPは推薦された人 (ノミニー) に対して迅速なWork Permitの取得もサポートしてくれます。
 BC州の場合、PNPの対象として優先される職種分野は、ハイテク産業、バイオテクノロジー、航空工学、大学教授、熟練工、看護婦、医療専門技術者等です。さらに、科学や応用科学を専攻した理科系の留学生やビジネスを専攻した留学生も卒業後BC州の雇用主からJob OfferがあればPNPの対象となります。

次にビジネスPNPに関してですが、最も一般的なビジネスPNPは、投資や新規事業の開拓、あるいは既存事業の拡大などを行う必要があります。そして申請者は、過去のビジネス経験、かなりの額の純資産、州における新規もしくは既存のビジネスへの投資、経営への積極的な参画、州のビジネスに対する雇用の促進などが州政府より期待されます。更に、投資を行う州に居住する意志も関係してきます。

ほとんどの州では、州が優先的に投資を期待している分野のリストを用意しています。そして申請者は、自分が何を行なう計画であるかをきちんと説明したビジネスプランを提出する義務があります。また同時に事前にその州を訪問し、地元の政府の役人に会わなければなりません。その際に申請者は、ビジネスプランや何故そのビジネスが成功すると考えているかを説明する必要があります。入念に準備された申請書類やビジネスプラン、そして政府のPNP担当者への説明などが成功の鍵となります。
 多くの州において申請者は、申請書類の承認後、まず承認を得た州に行かなければなりません。またビジネスプランの遂行や継続を確かなものにするための様々な方法が州により実施されています。例えば、マニトバ州やニューファンドランド州では、申請者が一定期間内にビジネスを施行できない場合を想定して、あらかじめ預金を義務付けています。

BC州のビジネスPNPについて更に詳しく説明しますと、このプログラムは次の3つのカテゴリーに分かれています。

  1)ビジネス・スキルズ
  2)リージョナル・ビジネス
  3)プロジェクト

1)ビジネス・スキルズ

このカテゴリーは、高額資産と豊富なビジネス経験があり、BC州の経済発展に貢献できる人が対象です。

[資格]
・ビジネスで成功した経験がある。
・少なくとも200万カナダドルの純資産がある。
・選んだビジネスに80万カナダドル以上投資できる。
・本人の出資率は1/3以上でなければならない。
・ビジネスプランがある。
・5人分以上のの新しい仕事を創出できる。
・積極的に経営にたずさわる。

2)リージョナル・ビジネス

このカテゴリーは、BC州の地方経済発展のために、グレーター・バンクーバー以外の地域で早急にビジネス展開をしたい人が対象です。ミッション、アボッツフォード、スコーミッシュ、ウィスラーなどはこの地域に含まれます。

[資格]
・ビジネスがグレーターバンクーバー地 域以外の場所である。
・少なくとも60万カナダドルの純資産がある。
・少なくとも30万カナダドルを投資できる。
・本人の出資率は50%以上でなければならない。
・ビジネスが最低2人分の新しい仕事を創出できる。
・積極的に経営にたずさわる。

3)プロジェクト

このカテゴリーは、BC州又は海外の企業が業務の拡張あるいは新規事業展開のために、海外から熟練管理者や技術者を呼び寄せるためのプログラムです。

[資格]
・展開する事業に関連する分野ですでに成功を収めている企業。
・新規事業あるいは業務の拡張に該当する。
・投資額は最低100万カナダドルで、5人以上を新規雇用する。
・海外からの管理者や技術者が事業の成功にとって不可欠である。
 以上の3つのカテゴリーのいずれかで州の合意を受けると、2年間のWork Permitがまず発給されます。そして2年間契約を遵守すれば、州が移民を推薦することになっています。

(2007年7月 ブライアン・エドワード・忠義・辻)


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