投資

日本と比べるとカナダの金利は高いですが、ただ銀行に預金しているだけでは賢明な資産運用とはいえません。自分にあった投資を見つけることが、カナダでの生活を安定させる上でも大切なことです。ここでは金融商品を対象にカナダでの投資の概略をまとめてみました。

金融諸機関

金融商品を扱う金融機関およびディーラー、ブローカー、エージェントは主に次のように分かれます。
銀行
生命保険会社
信託銀行
信用組合(Credit Union)
証券会社(独立系、銀行子会社)
ディスカウント・ブローカー(小売専門の証券売買のみ:銀行子会社 インターネット売買専門会社)
投資信託会社(独立系、証券会社子会社、銀行子会社、生命保険会社子会社)
投資信託販売ブローカー(小売専門の投資信託売買のみ) 生命保険ブローカー。


預金

投資としての預金は一般的に定期預金(Term Deposits)になります。
一年以内の短期から、金融機関によっては10年にわたるものもあります。これらを扱っているのは銀行、信託銀行、信用組合、生命保険会社になります。一般的に預金を集めにくい中小の金融機関ほど金利は高くなりますが、金融機関格付のランクは低くなりリスクが高くなります。
銀行、信託銀行、信用組合の預金はCDIC、 生命保険会社の預金はAssurisとよばれる保険機構により保証されています。CDICの保証金額はひとりあたり最高$100,000までです。Assurisの場合の保証金額は場合によって異なりますので、Assurisのウェブサイト(www.assuris.ca)を参照して下さい。
なおCDICのサイトはwww.cdic.caです。各金融機関の金利には違いがあり、金額によっては金利の交渉もできます。外貨(カナダドル以外)預金を扱っているのは銀行で、金利が高いケースもありますが、外国為替リスクに注意が必要です。最近では電話あるいはインターネットのみで預金口座を開くことができ、高金利を提供している金融機関もあります。

債券
取扱い金融機関は、短期政府証券(Treasury Bill)、国債(Federal Bonds)、銀行引受手形(Bankers Acceptance) を中心とする銀行とすべての債券を扱える証券会社になります。
短期政府証券および銀行引受手形の最低引受金額は定期預金より高くなりますが、金利も高くなります。高額を安全に短期投資するのであればこれらが適しているといえます。他にも州債(Provincial Bonds)、公社債(Corporate Bonds/Debentures)などがさまざまな条件(最低金額、償還期間、利回り、ワラント付き、クーポン付き等)で発行されており、金利もまちまちで、リスクもそれぞれです。
定期的な収入を確保するのであればリスクの低い国債、銀行引受手形、リスクは若干高くなりますが公社債が適当な投資先になります。

株式
証券会社とディスカウント・ブローカーで扱っています。証券会社はフルサービス・ブローカーとも呼ばれ、株式取引売買手数料はディスカウント・ブローカーよりも高く設定されますが、専門のインベストメント・アドバイザーが様々な資料請求や投資相談にのってくれます。一方ディスカウント・ブローカーでは基本的にそういったサービスはありませんが株式取引手数料は低く設定されています。さらにインターネットで株式取引を行うと手数料が低くなるケースが多いようです。
株式には一般的に投票権のある普通株と、ほとんど債券と同様の金利に敏感な優先株があります。激しい動きをするのは普通株で、会社によっては非常にリスクが高くなります。もちろん、倒産等により株が紙切れ同然になることもありますが、一方公共事業会社やブルーチップと呼ばれる大手企業で安定した会社もあります。
ニューヨーク市場を通して、日本、アジアやヨーロッパの大企業の株も購入できます。またマージン口座と呼ばれる投資資金を借りることによって、短期で値上がりが期待出来る場合、少額の投資で大きな収益を得ることができますが、裏目に出た場合は損失も大きくなります。
投資信託
ほとんどの金融機関・投資ブローカーで扱っています。ひとつのファンドでも投資先が50以上あるのが一般的であり、分散投資されています。
ファンドの種類も、リスクの非常に低いMoney Market Fundsをはじめ、Mortgage Funds, Bond Funds, Balanced Funds, Canadian Equity Funds, Dividend Funds, Resource Funds, Speciality Funds, US Funds, International Funds などに分かれ、現在では数千のファンドが市場に出ています。投資最低金額($500から)が低いこと、分散投資されていること、プロのファンドマネージャーが投資管理していること、そして流動性が高いことなどが特徴です。各金融機関とも投資家の投資方針・性格を知るための質問表が用意されており、それに従って分散投資を行うことが勧められています。
保険会社が扱うセグレゲイテッドファンドという投資信託は、満期および死亡時における75%から100%の元本保証されている点、債権者から保護されている点などの特徴があります。販売手数料、管理費などがかかりますが、投資信託会社によって細かい条件が異なります。購入する前に受益者証券証書(Prospectus あるいは Information Holder)でそれらの条件を確認しておくのがいいでしょう。実績運用利回りは長期では同じ種類のファンドでは各々それほど差がなく、資産分散(Asset Allocation)が最終的な運用利回りにとって重要であると言われてます。

 
特別なファンド・証券
Labour-Sponsored Funds と呼ばれる、政府が認める事業に投資するファンドを購入すると、相当な割合で税金が控除されます。
ただし、実際のところファンドの運用利回りは安定しておらず、リスクも高い部類に入ります。最高税率が適用される方にはある程度購入する価値はありますが、運用利回りに関してはあまり期待できないのが現状のようです。
またIncomes Trust と呼ばれる、持ち株会社の子会社に直接投資する信託証券があります。その会社からの配当・利息により高利回りを出している場合が多いのですが、リスクは高く、子会社が閉鎖倒産の場合は証券の価値はほとんど無くなります。また、高利回りを維持しているのは資産を崩しているためという専門家もいます。
オプション・フューチャーズ
株式オプションの場合、ある銘柄をある一定の価格である期日に買い取る権利(コールオプション)あるいは売る権利(プットオプション)を取引するのがオプションになります。プレミアムと呼ばれる比較的少額の投資額で何倍も大きな
金額を取引できるかわりに、リスクも非常に高くなります。
オプションは必ずしもその権利を実行しなくてもよく、その場合はプレミアムのみを失うことになります。基本的にゼロサム(誰かが儲ければ、誰かが必ず損すること)市場になり、実物取引のヘッジに使用するのが一般的です。フューチャーズ(先物市場)の対象は商品、外国為替などで必ず期日に取引を行うか、反対取引を行って実物決済を相殺します。実物取引のヘッジに使われるほか、一般投機の対象になり、金融商品のなかではもっともリスクが高い部類に入ります。株式オプションは証券会社、その他は商品取引会社で扱っています。
RRSP
RRSPという特別な金融商品はありませんが、一般的に上記の預金、債券、株式および投資信託が政府に登録することによってRRSPになります。さまざまな条件がありますが、RRSPにすることによって、元本、利息、配当、および値上がり益(キャピタルゲイン)にかかる所得税が引き落とし時まで控除繰り延べされ、その結果、長期になるほどそして高い税率が適用されるほど節税効果が高くなります。
生命保険
RRSP、RPP、 IPP などの所得税を控除繰り延べできる枠を使い切った場合、あるいはそういった枠がない場合、さらにさまざまな理由(Estate Planning, Pension Maximization, Collateral Loan など)で生命保険に加入の必要性がある場合、高配当設定の終身保険やユニバーサル保険の最高額保険料を入れることよって、保険のコストを除いて規則に定められた課税免除点までの投資収入に関して課税が繰り延べされます。終身保険は保険会社が投資管理をすべて行いますが、ユニバーサル保険の場合投資管理は契約者本人が決定します。ユニバーサル保険の投資先は定期預金, 国内・海外の株式あるいは債券指数、およびそれらをミックスしたバランス型指数になります。また生命保険は、金融商品では唯一死亡時において非課税となりますので、有効な担保となりえます。
投資運用利回りに対する税制
RRSP、RESP、RPP、DPSPなど税金が繰り延べされるプランでない限り、毎年投資から上がってくる利息、配当、値上がり益(キャピタルゲイン)などの所得に対して最終有効税率で所得税を支払うことになります。利息の場合は100%が課税対象になりますが、値上がり益(キャピタルゲイン)は50%になり、配当の場合は最終有効税率によって変わってきますが70〜75%程度になります。日本に居住している非居住者の場合は、非居住者税が源泉徴収されるケースが一般的ですが、例外もあります。
投資を始めるにあたって
投資は基本的に自己責任が原則になります。まず投資家自身の投資目的、期間、金額、収入、資産、投資経験・知識、リスクに対する許容度などを明確にしたうえで、賢明な判断を下すことが大切です。また、取引に対する手数料を必ずはっきりさせることも肝心です。 投資家の投資性格にあった商品を選ぶことが納得の得られる結果につながると言われてます。
(矢嶋 淳)

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