バンクーバー周辺のレンタル事情は日本と少し異なります。日本の場合、家主が不動産業者にテナント募集を依頼し、テナントが決まればレンタル契約が取り交わされ、手数料が業者に支払われますが、カナダの場合、ほとんどの家主側 (Landlord または Property Manager) は、不動産業者 (Realtor) に依頼せず、独自でローカル新聞のレンタル住居欄 (Residential Rent in Classified Ad.) に広告を載せます。ですから、レンタル住居物件を捜している人は、新聞広告を通してハントするか、あるいは実際に住みたいと思う地域を廻って、自分で探すことになります。新聞広告で探す場合は、住居タイプ別、地域別に分類されている住居欄の中から、希望に沿う内容の物件に問い合わせ、アポイントを取り、それらの中から希望に合う物件を選出することになります。実際に自分で廻って探す場合は、空室 (Vacancy) のサインがでている住居に直接交渉するかたちになりますが、日曜日や祝日以外ならば、大抵その場で部屋を見せてもらえるので、効率的といえるでしょう。
こちらの不動産業者は、住宅の売買が専業ですが、レンタル物件を斡旋する業者もごく少数います。住居希望者は手数料として、家賃の1ヶ月分前後の用意が必要となります。
レンタル物件が決まった時点(入居日の1〜4週間前になる可能性が多い)で契約となりますが、契約書に署名する前に義務づけられている手続きがあります。それは、スイート(住まい)の状態を明記する「現状点検記録書」(Condition Inspection Report)への書き込みです。家主側が用意したスィートのチェックリスト用紙をもとにテナント、家主が各部屋を点検し、合意の上で書き入れていくものです。既存の損傷、シミ、キズなどを事前に明記し、将来、空け渡しの際に起こりがちな食い違いを避けるのが目的です。通常は、その場で、記入済みの「現状点検記録書」コピーを「レンタル契約書」と共に受け取ります。但し家主側は、点検を交わした日から一週間以内に「現状点検記録書」をテナントへ渡せばよいことになっています。「レンタル契約書」は取り交わし日から21日以内となっています。空け渡し時にも同様な点検が義務づけられ、入居時の「現状点検リスト」をもとに一つ一つ確認します。
賃貸期間に関しては一年リースが条件という家主が多いですが、6ヶ月、月極め自動更新レンタル (Month to Month Rental) などもあります。
日本のような礼金、敷金制度などはありませんが、保証金 (Security Deposit 又は、別名Damage Deposit) 制度になっています。
「保証金」とは、テナントによる契約違反、住居破損などで家主が損害を被った時の補償に当てられます。レンタル契約書に署名した際に手渡すのが一般的ですが、保証金額は家賃の1/2 を超えない額と定められており、住居使用による必然的な摩耗 (Wear and Tear) 以外、入居時と同じ状態でテナントが空け渡した際は、保証金額の払い戻しを家主側から受け取ることができます。その際、家主はBC州住居レンタル支局 (Residential Tenancy Branch in BC) が指定した利息率を保証元金に加算して、テナントに支払う事が義務づけられ、利息率は契約書に記載することになっています。
空け渡し時に、テナントによる破損、故障、シミ、キズ等があった場合、家主側は保証金の中から、それらの修理、修繕費用を差し引くことが可能です。但し、事前にテナントへの確認、そして書面による同意を得てからでなくてはなりません。同意が得られない場合、家主側は住居レンタル事務所 (Residential Tenancy Office) に調停 (Arbitration) を依頼することができ、両者はその裁決に従わなければなりません。
ペットに関しては、飼うことを許されていない 「ノー・ペット」が多いのが現状。許されていたとしても家主側の条件を満たしたものでなければなりません。ペットの種類、サイズ、数などの規定は家主側に事前確認しておきましょう。ペットOKの場合、先の「保証金」の他にペットによる損傷を想定した、「ペット損傷保証金」(Pet Damage Deposit)を家主側に預けなければなりません。額は先の「保証金」同様、家賃の1/2を越えないこと、その性質も「保証金」と同じです。
<入居の1~2 週間前までに済ませておきたい事>
電力会社 (BC Hydro等) にレンタル契約開始日を通知。
家賃に光熱費は含まれないのが一般的ですが、含まれている場合は、その必要はありません。尚、通知は電話連絡でも可能です。
・電話会社 (Telus等) に電話回線開設の申請。
通常、電話局に申請後 (新しい電話番号を入手後) 、電力会社に通知する方が手続きは容易です。電話による申請も可能。
・ケーブル会社 (Shawその他 ) にケーブル回線の申請。
アパートの家賃に含まれている場合は、必要ありません。
電話による申請も可能です。
・火災保険会社 (Fire Insurance Company) でテナント保険に加入。
テナント保険には、家財の火災、盗難の他に第三者に対する損害賠償もカバーされており、テナントが保険に入ることを条件にしているレンタル契約が多いようです。レンタル契約の中に、その条件がない場合、入るか否かは本人の自由です。
<空け渡しの1ヶ月前までにしなければならない事>
・家主側への空け渡し通知。
1ヶ月前までに、書面にて家主側に手渡されなければなりません。1年リース契約が来月で切れるという場合でも同様です。但し、その月の20日に通知したからといって、翌月の20日の空け渡し、20日分の家賃精算という訳にはなりません。通告した翌月いっぱいの家賃を支払うことが規定されています。「通告書」は、普通の用紙でも構いませが、書面には必ず?レンタル物件の住所、?賃借を解消する旨と空け渡し日(通常は月末)、?署名年月日と署名を明記しなければ有効ではありません。リース契約の途中での解消は家主側の同意がない限り無効となります。
ちなみに、リース契約の更新、解消が双方からなされない時は、自動的に月極め自動更新に変わります。
<空け渡しの2 週間前までにしておきたい事>
・電話会社、ケーブル会社などへの引っ越し日づけの解約通知。
・電力会社、火災保険会社などへのレン タル契約解消日づけの解約通知。
・郵便局での住所変更届け申請。
カナダ国内に住所変更の場合は、料金が$33+GST、国外(例えば日本) ということになると、国外料金の$66+GST 。このサービスを受けると、引っ越しの日から向こう6ヶ月は旧住所で送られてくる郵便物が、自動的に新住所に転送されます。申請用紙(Changing Address Notification Form) は郵便局にありますが、申請の際、公的に自分を証明するもの(パスポート又は免許証など) が必要です。
<空け渡し時にする事>
・家主側と共に行なう住居点検。
入居時の「現状点検リスト」を元に行ないます。問題点が住居から発見されなければ(入居時と空け渡し後の住居状態が同じ)、家主側はレンタル契約解消日から15日以内にテナントに保証元金+利息分を支払う義務があります。
また、空け渡し日に関して気をつけなければならないことがあります。レンタル契約解消日が末日の30日で、空け渡しを25日にしたいという場合、5日間のズレが生じます。
その時、法的にはレンタル契約解消日の30日までは住居に何かあった場合、テナントが責任を負わなければなりません。出来ることなら、解消日が空け渡し日であることが望ましいのですが、もしどうしてもズレるようなら、「○年○月○日(空け渡し日)をもって、レンタル契約を解消する」という旨を、空け渡し日までの間に家主側から契約書の端にでも、一筆書いて署名してもらうこと。
・値上げ
家主がレンタル料金の値上げを実施する場合、その 3ヵ月前までに書面にて、テナントに通知しなければなりません。つまり、5月からの実施なら1月中の通知になります。年に1回を超える値上げは違法です。値上げ率に関しては規制があり、基本的には、「住居レンタル規定」に基づいた方式(Inflation rate + 2%)で割り出された数字を越えない額となっています。詳しくはこの欄の最後に紹介されている「住宅レンタル・ホームページ」からお調べ下さい。
・家主側からのレンタル解消通告
リース契約をしている場合は、テナントに非がない限り、リース途中で家主側が、一方的にレンタルを解消することはできません。月決めレンタルの場合は、条件付きで可能となるケースがありますが、家主側は 空け渡しが行われる月の2ヵ月前までに、書面による解消通知をテナントに渡さなければなりません。さらに空け渡し日までに、1ヶ月の家賃と同額を不都合に対する補償金 (Compensation Fee)としてテナントに支払うことが義務付けられます。もし、2ヶ月後の末日以前にテナントが引っ越す場合、(月初めに家賃を徴収している)家主は、空け渡し日から月末までの日数分の家賃をテナントに返済しなければなりません。解消要因がテナントにある場合はこの限りではありませんし、通告期間は短縮されます。
・テナントによるまた貸し
住居の一部、または全体を勝手にまた貸し(Subletting)したり、賃借権を譲渡 (Assigning) することは、契約書に明記されてない限り違法になります。後でトラブルが起きないよう、契約内容は常づね、十分に確認しておきたいものです。
< 最寄りの住居レンタル事務所>
400-5021 Kingsway Ave. Burnaby, B.C. V5H 4A5
Information : 604-660-3456
10009-136A St. Surrey, B.C. V3T 4G1
Information : 604-660-3456
住居レンタルホームページ
http://www.ag.gov.bc.ca
・記述上の政府参考資料
"A Guide for Landlords and Tenants in British Columbia.”
Issued by Ministry of Attorney General-Residential Tenancy.
北米の住居は大きく分けて、一戸建て住居(Detached House)、タウンハウス(Town House) 、アパート(Apartment)があります。タウンハウスとは、一般的に長屋形式の住宅で、隣とは壁で仕切られ、独立した玄関を持っています。中には、アパートと見間違うものもありますが、区別をするポイントは、アパートの玄関がロビーであるのに対し、タウンハウスにはロビーがないという点です。
ちなみに、北米でいうコンドミニアム (Condominium) とは、集合住宅のことで、タウンハウスもアパートも共にコンドミニアムになります。
不動産の売り市場での新築家屋のシェアは、日本に比べ極めて少なく、全体の 8〜9割は築 1年〜 50年までの家屋です。購入を希望の際は、不動産業者 (Realtor) に連絡を取り、自分の予算、要望に適したタイプ、地域などを相談すると良いでしょう。タイプ、地域の選定が決まったら、納得する物件が見つかるまで、とにかく業者と共に見続けることが大切です。こちらの不動産取り引きは、売り手側が不動産業者に手数料を支払う取り決めになっていますので、購入者は業者へ手数料を払う必要はありません。
住宅の買い手には、即金買いの場合と頭金+住宅抵当権ローン (Mortgage Loan)で買う場合とがあります。融資額や融資条件など詳しくは、不動産業者、銀行ローン係に尋ねることをお勧めします。
いよいよ物件が見つかったら、こちらの希望価格、支払い希望日、空け渡し希望日、その他の条件を申し込み書に記入した上で、買い手の不動産業者 (Buyer's Agent) が売り手側に提出します。交渉が物別れに終わる時もあり、何度かの交渉の末、双方の歩み寄りで売買契約が成立する時もあります。
通常、申し込みから売買契約成立までは 1~10日位です。成立の際、買い手は頭金の一部 (購入額の5%~10%) を契約書に添付します。合意された購入代金支払い日、住居の空け渡し日は売り手側の都合にもよりますが、通常、契約成立の日から1~2ヵ月後になります。
尚、支払い日は空け渡し日の1~2日前というのが一般的です。
購入住宅の登記、売り手側への支払いなどは弁護士 (Lawyer)、または公証人(Notary Public)に代行してもらうことになります。心当たりがなければ、不動産業者に尋ねてください。
代行者 (Lawyer または Notary Public)の事務所で、上記の諸手続きを取り行う日は契約に記された支払い日の 1~3日前になるのが一般的です。その際、買い手は購入代金、代行者手数料、不動産被譲渡税などを一括して代行者に支払う形になります。不動産被譲渡税は、毎年の固定資産税とは異なり、購入時にのみ支払う税金です。購入額が 20万ドル以下であればその1%、20万ドル以上であれば差額分のみ、その2%になります。つまり、18万ドルの物件の購入税は1,800ドル、50万ドルの物件の購入税は8,000ドルとなります。一定の条件を満たしていればこの税金が控除されるケースもあります。詳しくは不動産業者にお尋ねください。
尚、新築物件を買う際は更に、サービス税 (6%)が加えられます。但し、45万ドル以下の新築物件購入者に対しては、購入額に反比例する形でサービス税払い戻し分があり、最高8,750ドルまでの払い戻しが受けられますが、払い戻し対象者は限定されており、海外在住の購入者の場合は、その対象外となっています。上記の税金の英語名は以下の通りです。
不動産被譲渡税 --- Property Transfer Tax
サービス税 --------- Goods and Services Tax
固定資産税 --------- Property tax
<入居の1~2 週間前までに済ませておきたい事>
・電話会社 (Telus等) に電話回線開設の申請。
・電力会社 (BC Hydro等) に受給の申請。
・ケーブル会社 (Shaw、その他) にケーブル回線の申請。
・火災保険会社 (Fire Insurance Company)での加入手続き。
これらの手続きなどに自信のない時は、購入の際の不動産業者に手助けを頼んでみましょう。
住居所有者に毎年送られてくる不動産査定報告(Property Assessment Notice)をもとに、翌年の固定資産税は算出されます。税額は査定額の1%以下が一般的です。
BC州には所有者控除金(Owner’s Grant)制度があり、同州に住まいを保有し自らが居住している永住者と市民に限り、申請により控除が受けられます。査定額が78万ドル以下なら一律570ドル。更に、配偶者の一方が65才以上ならば、275ドルが加算。78万ドル以上の場合は、査定額が上記の額を1,000ドル増していくごとに5ドルの割合で控除額が削られていきます。つまり、仮に80万ドルだとすると基本控除額(570ドル)より100ドル減。尚、納税最少限度額は350ドル(65才以上は100ドル)と規定されています。
(秋田谷 秀樹)